小声日記

初めてのpython、編み物、日々考えることなど

穏やかでいる才能

おじいちゃん、おばあちゃんとは離れて暮らしている。お盆やお正月なんかにちらっと顔を出して、お話ししてお年玉をもらうくらいの感じがずっと続いている。

最近は、おじいちゃんやおばあちゃんといろんな話をする。らくらくフォンがまともに使えないおばあちゃんはネット社会の話にあんぐりしている。携帯を持っていないおじいちゃんはなんのことやら解らずそそくさとテレビの前に退散してしまった。

 

おじいちゃんは、家から出ない人だ。いつもおなじ位置にいて新聞を読んだり、テレビを見たりしている。私が小さい頃は、四角い印象を受ける古い自転車に乗って買い物に行くおじいちゃんを見かけたこともあったけれど最近はそれも無くなってしまった。

もともと家で文房具屋さんをやっていて、そのころも店番をずっと一人でじっと座ってやっていた。おじいちゃんの文房具屋さんは私の幼い時でさえ並べてあるものが古かったし、人も滅多にこないのだが、店番でじっとしているおじいちゃんのとこに行ってそろばんで遊ばせてもらったり、お店屋さんごっこをするが好きだった。

じっとしていて静かだけれど物知りで、特に歴史が好きなようで、学校の宿題なんかをしているとさらっと教えてくれた。

おばあちゃんに聞いても昔からずっとじっとしているようである。おばあちゃんはおじいちゃんのぶんまで動いているのか掃除炊事洗濯などくるくる動き回っていた。

 

おばあちゃんはくるくる動いて暑がり、おじいちゃんはじっとしていて極度の寒がり。どれくらいかというとおじいちゃんは30度くらいでは長袖を着ているし、それより気温が低いとさらにジャケットを着てズボンの下にモモヒキを着ていたりする。35度くらいの猛暑日に遊びに行くとやっと半袖のシャツを着て「さすがに暑いね」と笑っている。暑がりなおばあちゃんは冷房の効いた部屋でないと動いてられないと言いながら、首にタオルを巻いて汗をふきふき台所でくるくるしている。夏の風景である。

 

おばあちゃんはおしゃべりが好きなので、編み物にハマった私がおばあちゃんにそのことを話したら、おばあちゃんが編み上げたセーターや使った道具や毛糸を見せてくれたり、ほどいたセーターの糸とその思い出なんかを語ってくれた。私とおばあちゃんの時代は全く違くて、おばあちゃんは生活のために編み物やお裁縫をしていたけれど、私は趣味でやっていて、多分おばあちゃんから見たらこの時代にわざわざ…という感じなのかもしれない。

一回編み物をしているところも見せてもらって、私の編み目はゆるゆるなんだけど、おばあちゃんの編んだ編み目はキツキツで針が動かないくらいになってて、同じものを編んでるのに人によってこんなに違うんだって面白かった。あと手の動きがとっても無駄がなくてスムーズだったのでおばあちゃん、すごい!と思った。

 

おじいちゃんとはたまに囲碁や将棋をする。おじいちゃんは囲碁が強いけれど、私は初心者レベルで、いくら石を置いてもらっても負けてしまう。将棋は私も少しはできるので、おじいちゃんに勝って喜んでいると笑いながら「負けたあ〜」と言ってくれる。そのあとちょっと機嫌が良さそうで「ほっほっほ」と笑っている時もある。

穏やか、という感じがする。おじいちゃんはずっと家にいるのに穏やかだから、そういう才能があるんだろう、と私は睨んでいる。じっとしながら自力でいろんなものを消化する能力というか、一人でいられる能力というか。あんまり静かだから少し心配になっちゃうんだけれど。

 

おじいちゃんやおばあちゃんが私くらいだった頃は、どんな人と会ってどんな生活をしていたのかな。母の若い頃の話は語られても祖父母の若い頃の話はどうにも聞かないけれど、私のみている2人の間にどんな時間があったんだろう。

 

そんな祖父母は最近おじ家族と2世帯で生活している。おばあちゃんはまるでまた子育てを始めたみたいでくるくるくるくるてんてこ舞い、あまりにやんちゃないとこたちにおじいちゃんまで大きな声を出すようになった。

少し前より、祖父母宅のボリュームが大きくなった。

疲れすぎない程度にエネルギーをやりとりしながら、元気でいてくれたら嬉しいな。

 

今週のお題「私のおじいちゃん、おばあちゃん」